皆様、お久し振りでございます。
例の如く3ヵ月近く何も呟いてなかったですが、生きてます。
潜伏していた理由として近況報告をしておくと、まず仕事の絡みでGWが消し飛び、そこまではまだ良かったんだけど、その直後に出てきたこれが全てを狂わせた。
そう、アイマスシリーズの新作ゲーム・学園アイドルマスターである。
語り出すと長くなるのでここでは詳しく触れないけど、プロデュースしているのを強く感じられるゲーム性になっており、気付けばどっぷりハマっていた。プレイしている人ならわかると思うけど、現在PLv46なのでそこそこやってます。推しは咲季とリーリヤで莉波がお姉ちゃん。
閑話休題。
とまぁそんなこんなでただでさえ遅れていたアニメ視聴の停滞に拍車がかかり、総括も大幅に遅れたというわけですが、お盆返上で引きこもってようやく今期も全て見終わったので、感想をまとめていきたいと思います。
なかなかに分量あるので、時間がある時にでも読んでもらえると嬉しいです。
更にコメントとかもらえると跳ねて喜びますので良かったら。
それでは早速振り返っていきましょう。
※下の目次タイトルから各感想に飛べるので、見た作品だけでも読んで頂ければ。
【目次】
1. 響け!ユーフォニアム(3期)
ユーフォシリーズ第3期にして完結編ということで。本シーズンでは3年になり部長となった黄前久美子と、強豪校から転校してきた黒江真由を中心に物語が進んでいく。
この真由というキャラが中々に曲者で、『バランスを重んじる実力者』な真由は実力主義の北宇治とは相反しており、得体の知れない異物感とそれに戸惑う様子が、間の取り方などから伝わってくるのがリアルで良かった。あすか先輩との思い出の曲に踏み込んでくる(普通のコミュニケーションだが)真由に対して久美子が思わず距離を取ってしまうシーンとか、オーディションを辞退しようとするシーンとか質感あり過ぎて…この辺の描写が真に迫っているから、見てるこちらも感情移入してしまった。
黄前部長にも触れておくと、部員達の悩みに真摯に向き合っていたのが印象的で、気苦労が絶えない中でも部長として牽引する姿はカッコ良かった。滝先生の判断に対して部員が疑心暗鬼になり、麗奈には部長失格とまで言われてしまった時でも折れず、涙を浮かべながらも思いの丈を全てぶつけて皆の心を1つにする姿は紛れもなく部長で、込められた熱量に涙が零れたと同時に、CV:黒沢ともよで良かったと改めて思った。
そして何といっても特筆したいのは12話のオーディション回。北宇治の実力主義を信じてやってきた久美子が最後までそれを貫きたいと匿名オーディションを申し出るところから既に泣きそうになって、真由が演奏に懸ける想いが現れた表情に胸が熱くなって、種々の感情で挙手する部員達にもグッときて、そして何より、選ばれなかった悔しさがありながらもこれが正しい選択だと部長として宣言する久美子の成長っぷりにはボロボロと泣いてしまった。言うまでもなく、自分のことのように涙を零す奏にも貰い泣き…ここまでだけでも最高なのに、締めの麗奈とのワンシーンがまた素晴らしくて。
久美子の音がわかっていながらも、実力主義という理想を貫いた麗奈の葛藤が泣けるし、そんな特別な麗奈だからこそ共に演奏したかった久美子の悔しさ…北宇治は実力主義であるべきという考えは嘘ではないけれど、だからと言って結果を全て割り切れるほどに久美子はまだ大人ではなくて。そしてかつての久美子であれば、死ぬほど悔しいと思うようなこともなくて…そんな成長の狭間にいるからこその涙に、3年間の青春の集大成とも言える涙に、こちらも涙が止まらなかった。驚愕なのがこの展開が丸々アニオリらしいところで、これは花田先生GJと言わざるを得ない。
最終話では演奏シーンを流すよりも回想が多めだったけど、本当に色々なことがあったと感慨深くなれて良かった。"悔しくて死にそう"から始まった物語が"嬉しくて死にそう"で終わる締めも美しく、文句なしの大団円だったと思う。
強いて言うなら演奏シーンが全体通してほとんど無かったので、せめてサンフェスぐらいは欲しかったかな。演奏シーン抜きで竹川さんの頑張り褒められても…って感じで違和感あったし。まぁでもそこくらいで、2015年から始まった響けシリーズの総決算として相応しい最高の終幕だった。素晴らしい作品をありがとう。
2. ガールズバンドクライ
ユーフォに続いて花田先生が構成・脚本を手掛けるオリジナルロックバンドアニメ。
本作の魅力は何といっても主人公・井芹仁菜。気に食わないこと全てに噛み付く狂犬
で、ロックの申し子と言わんばかりの暴れっぷりには随分と笑わせてもらった。また笑いだけでなく、自分に嘘をつけない真っ直ぐさは愛おしくもあり…特に自身の原点である桃香への想いは最初から最後まで一貫していて、感情が爆発した5話や8話ではその熱量に涙が零れてしまった。仁菜は常に感情剥き出しで、見てて飽きないキャラだったと思う。
他で言うとすばるがお気に入りで、開戦のゴング鳴らしたり、ガチ喧嘩始まったらドラマの撮影ですとフォローしたりと、包容力とユーモアを兼ね備えてるところが好き。途中参戦した智とルパについてはもう少し掘り下げが欲しかったのが本音だけど(特にルパ)、MVで過去をチラ見せしたり等、少ない時間に情報を詰め込んで想像させる手法で何とか上手くやっていたのかなと。
作画に関しては表情が多種多様で見てて楽しかったのと、ライブの躍動感溢れるカメラワークが見応え抜群だった。CGは特に気にしないタイプなので違和感無し。
またバンドアニメだけあって楽曲にも力が入れられていて、Vo:理名の歌声も相まって魅力的なものが多かった。ストーリー補正込みなら「空の箱」が別格で、それ以外なら5話挿入歌「視界の隅 朽ちる音」が好き。
ストーリーとしては、仁菜を救ってくれた桃香と、現実に打ちのめされていた桃香がかつての自分のように眩しい仁菜と出会う始まりに惹かれた(お互いがお互いの光になっている関係性大好き侍)。ラストも賢い選択でなくても自分達の信じる道を突き進むロックっぷりを見せつけて締めと、隙の無い構成だった。
ただ引っ掛かる点もあって、父親・ダイダス・ヒナと仁菜のトゲの元にもなっていた存在に対し、展開としては関わり合う中で単純に憎い怒りの対象ではなくなっていく。これは仁菜の成長としてみると納得出来るんだけど、一方でこの物語は仁菜のトゲから始まったわけで、そのトゲが抜けていくのは芯の部分が折れていく感覚があって好きになれなかった。トゲナシトゲアリの今後については描かない締め方だったけど、もうロックを歌う反骨精神は仁菜に残ってなくない?って思っちゃう。人気出たから普通なら続編もあり得るけど、書くのは難しいと感じる。
とまぁ色々書いたけど、毎週楽しませてもらっていたことは間違いなく、制作陣に感謝。我々の記憶に確かな爪痕を残した作品だった。
3. ダンジョン飯(2クール目)
作品全般の魅力については前シーズンで書いたので、印象深いエピソードについて触れていきたい。
1つ目は変貌を遂げたファリンとの邂逅(17話)。救出したい対象が禍々しいキメラに姿を変えている絶望感が半端なかったのと、良かれでやってきた今までの行動がカブルーやシュローといった第三者から改めて異常性を突き付けられる展開には胸が苦しくなった。ただそんな状況下でも、「1日3食しっかり食べていた俺達の方がずっと本気だった」と言い切るのが、食事と真摯に向き合う本作らしくて好き。
2つ目はセンシの過去回(23話)。食に厳しくなるのも頷ける壮絶なパーティ崩壊描写は身につまされる思いだったし、恐怖を抱きながらもトラウマと向き合い、安堵の涙を流すことができたセンシにはこちらも涙が零れてしまった。一方でトラウマ克服に向けて一切の躊躇なく事を進めようとするライオスが実にライオスで(伝われ)面白かった。
3つ目はファリン救出方針決定(24話)。生と死が曖昧になっているダンジョンにおいて、唯一明確に食事が死をもたらしているという着眼点が目から鱗で、ファリンの龍の部分を食べる解決策が奇想天外に見えて説得力あるのが気持ち良い。というかダンジョン飯を描いてきた本作ならではのアイデアに収束するのがあまりにも美し過ぎてビックリした。一体何食べてたらこんなの思いつくんだ(魔物か?)。
その他の単話でも漬物石にされるマルシルや、シェイプシフターでの偽物判別大会等々、実に愉快な道中で存分に楽しませてもらった。そして続編も決まったということで非常に嬉しい!今後のやることも明確になって期待は膨らむばかり。原作読もうかと思ってたけど一旦アニメを待とうと思います。
4. 烏は主を選ばない
烏に姿を変えられる八咫烏の少年・雪哉が、世界を治める金烏とされる若宮に仕えることとなり、金烏の后選びで権謀術数渦巻く桜花宮の争いに巻き込まれていく和風大河ファンタジー。
本作の魅力は金烏争い及び金烏の后争いを軸にした、各人の(腹黒い)思惑のぶつかり合い。誰が敵で誰が味方かわからない…というか何なら全員敵に思えてくるぐらい腹に一物ある人物ばかりで、キレのあるやり取りの数々にはゾクゾクさせられた。腹の内が読めないが故に先の展開が読めないことも多く、各々の立場・感情・謎が複雑に絡み合う骨太なストーリーが常に興味を引き続けてくれていた。
キャラも魅力的で、好き勝手やってるようで姫達の身を案じていたり、真の安寧をもたらすにはどう立ち振る舞うべきかを考えていたりと思慮深い若宮にはついていきたくなるカリスマ性があったし、そうはいっても奔放な若宮に振り回される雪哉との絡みは微笑ましく、何も信じられなくなっていくような本作の中で唯一の癒しだった。
四家の姫で言うと精神が壊れていく白珠の描写は凄みがあって引き込まれたし、浜木綿は言動がイケメンでカッコよくて、謎が多かった彼女の出自が明かされるシーンは食い入るように見ていた。真赭の薄はプライドの高さと純粋さ(人の良さ)を併せ持つところに惹かれ、断髪シーンは男前過ぎて惚れた。あせびはまさかまさかの展開で怖過ぎて震えてた。きょとんとした表情が恐ろし過ぎる…もう誰も信用できないよ…。
とこんな感じで楽しませてもらってた。2クール目もあるということで引き続き追いかけていきたい。
5. 夜のクラゲは泳げない
匿名で活動していた4人の少女が集い、匿名シンガーのJELEEを結成するところから始まる、オリアニの青春群像劇。
本作の魅力は、自分だけでは輝けないクラゲのような少女達が、皆でなら輝きを放つところ。まひる・花音・キウイ・めいの4人は全員どこか傷を抱えているんだけど、それぞれの光を力にして支え合っているのが素敵で、温かいエピソードの数々には涙腺が緩みがちだった。
印象に残っているのを挙げると、まず3話のキウイ回。嘘で塗り固めた自分なんかと塞ぎ込んでしまうキウイに、貴方は私のヒーローだと告げるまひる…自分のことを影だと思っているけど、自分が光だと思っている人の光になれている展開に弱くて涙した。
次が5話のまひる回。コメント欄での誹謗中傷というリアルさが真に迫っていて胸が苦しくなったし、そんなまひるを一人にせず水族館に連れてきてくれる花音の温かさがじんわり染みるし、何よりもっと自分の絵を信じたい・好きだと思えるようになりたいと、悔し涙を流しながらも絵の練習に励むまひるの姿には共感できてクるものがあった(ちょっとそこから解決までの時間が早過ぎる気はしたが…)。
あとサブエピソードだけど6話のみー子回も結構好き。周りから見ると嘲笑の対象になり得るような崖っぷちアイドルの母でも、娘のアリエルはそんな母のことがカッコよくて、可愛くて、大好きで…素敵な母娘関係に涙腺が緩んだ。
そして奇しくもガルクラと同じく音楽ものということでこちらも楽曲に力が入っていて、全て40mPが手掛けているのが個人的に嬉しいポイント。昔はかなりボカロにハマっていて、その中でも40mPはアルバム全部持ってるぐらいには好きだったから、久々にガッツリ曲聴けて嬉しかった。お気に入りは『一日は25時間。』と『最強ガール』かな。歌詞に注目すると、"夜(ヨル)"は勿論、『深海遊泳』の"もう雪の音が聴こえなくても" とか、本編に絡めたワードを盛り込んでくれているのも好き。
ただ脚本面でいうと、9話の決裂回までは良かったと思うんだけど、そこからの展開が精彩を欠いた印象。というのも10話のめい全力歌唱は感情が爆発していて泣けるんだけど、花音を立ち直らせるのがヨルじゃないのは違和感が残った。11話のキウイ身バレ回も単体で見れば良いエピソードなんだけど、構成として今やる?感は拭えなかった。最終話のミロ改心は唐突感あったし、花音が皆の為に歌うというアンサーも結論が飛躍しているように感じた。ののかではなく花音として認めたことを示すクレジット演出とか随所に光る部分はあっただけに、終盤で粗さが散見されたのが惜しい。
長短含め長々と書いてしまったけど、それだけ入れ込んで見ていたのもまた事実。並の作品ではこうはいかないので、良いオリアニだったと思う。
6. 時光代理人 -LINK CLICK- Ⅱ
衝撃の展開で幕を閉じた1期から2年、再び日本に上陸した中国発のタイムサスペンス。
写真の世界(≒過去)へダイブすることができる能力を軸にした、ドラマチックな短編を持ち味にしていた1期とは少し趣が異なり、2期では人を操る特殊能力を持った敵との対決がメインとなっている。写真ダイブが少なめだったり、肉弾戦のシーンがやたら多かったり、そういう点も含めて少し毛色が違ったシーズンだったかなと。アクション作画自体はよく動いていて見応えはあるもののどれも冗長気味で、この辺りはマイナスポイント。
逆に各話の引きの良さは健在で、早く続きが見たくなる吸引力が素晴らしかった。また敵能力や事件の真相等、散りばめられたピースが徐々にハマっていく興奮は1シーズン通して1つのエピソードをやり切った2期ならではの魅力だと思う。どんどん壊れていくリー兄妹の物語は見てるの辛かったけど、だからこそ感情が揺さぶられた。いいお兄ちゃんになろうとして道を踏み外してしまったが故に、"いいお兄ちゃんがいないと生きられない"だった妹が亡くなるというのは何とも皮肉で…切な過ぎるよ。
そしてラストはヒカルのリープ能力を示唆し、1期に続いてまたしても衝撃展開で締めというニクい構成。間違いなく続編もあるだろうから、また放送してくれる日を楽しみに待ってます。
7. 僕のヒーローアカデミア(7期)
物語も佳境に入って言うまでもなく安定して面白いんだけど、長期シリーズなのでトピック別で簡潔に一言感想を添えるスタイルで。
・スターvs弔
アメリカのトップヒーローらしいスターのダイナミックな攻撃に大興奮。新たなルールを付与するのもチート感あって好き。周りの軍人達がちゃんと仲間として一緒に戦ってるのが燃えるし、能力を奪われる逆境に対して、自らを犠牲にしてでも致命傷を負わせるスターの執念には胸が熱くなった。
・青山
どうしようもない状況まで追い込まれた青山の辛さは痛いほど伝わってきたし、だからこそ"君はまだヒーローになれる"と手を差し伸べてくれる皆の温かさが染みて泣けた。この後の総力戦でもそうだけど、サブタイでもあった「皆がヒーローになるまでの物語」の通り、本作は全員が主役として描かれているのが良い。
・ヒーローvsヴィラン総力戦
全ての戦力が一堂に会してぶつかり合うという構図がまず燃えるのと、"脇役なんていない"というセリフに説得力を感じるぐらい各々の個性を結集させた作戦には手に汗握って見守っていた。特に最強と化した弔に専用の要塞を作って立ち向かうのは状況だけでも滾るものがあるし、それをまた新たな力で超えてくる弔もラスボス感あってたまらん。
クール跨いで続けての放送になるので、引き続き追いかけます。
8. 忘却バッテリー
中学時代に怪物バッテリーだった葉流火(ハルカ)と圭、だが圭は記憶を失い素人になってしまう。無名の高校へ進学した二人と、中学時代の彼らを知る元球児達が出会い、歯車が動き出す…という物語。
本作の魅力は記憶喪失の主人公・圭。普段はお馬鹿なギャグを連発するアホさに笑わせてもらいつつ、芯の部分では初期衝動や情熱があり、野球を再び学び成長していくのが良かった。また記憶喪失設定の活かし方も巧くて、期間限定で記憶を戻すことで変化を与えてきたり、ワンバン送球という素人ならではの柔軟な発想で解決策を提示してきたりと、出オチになってなかったのが好印象。
あと怪物には届かなかった葵と千早の物語も見所で、イップスやフィジカルといった壁にぶつかった彼らが、信頼できる仲間達と出会って壁を乗り越えていく姿には胸が熱くなった。自分自身も野球やってて、両方と似た経験で苦しんだ過去があるから、感情移入して見れたのも大きかったかな。特に7話の葵回は至高の出来で、トラウマ克服までだけでも充分だったのに、先輩との再会シーンが演出素晴らしくて自然と涙零れてた。絶妙な空気感の再現度高過ぎるし、葵の表情を見せずに感情を想像させるのも良い。
最初はギャグの比重多めだったからどういう作品か読めなかったけど、野球作画も気合入ってたし、想定以上に野球と正面から向き合っている良作だった。物語としてはまだまだこれからというところで終わったので、また先が見たい。
9. 終末トレインどこへいく?
7G回線の開通と共に変貌してしまった終末世界で、消息を絶った友達・葉香に会いに電車で池袋を目指す、水島努監督率いるオリジナルアニメ。
本作の魅力は小気味良いテンポで繰り広げられる会話劇。畳み掛けるように台詞が押し寄せてくるんだけど、何でもアリな世界観と相まって勢いが凄まじく、見ている(聞いてる)だけで楽しかった。池袋までの各駅epもキノコ人間・ガリバー旅行記・ゾンビ・漫画家バトルetcと制作陣がやりたい放題やっていた印象で、楽しんで作ってるのが此方にも伝わってきた。また好き勝手やってるかと思いきや、"知らないことやわからないことはあればあるほど楽しい"ことに静留が気付くという形で奇妙な旅に意味を持たせるのは成程と妙に納得してしまった。世界が完全に元通りにはならなかったところも含め、意外とメッセージ性の強い結末なのが好き。
一方、前半で期待していた7G事件の謎については多く語られず、ボタンを押すだけで終わりなのは少々味気無かったかなと。先の読めないミステリアスな開幕で期待しただけに、もう少し捻りが欲しかった。敵役であるポンタローが小物感満載だったのも残念。
とは言え全編通してオリアニらしい自由さで作られていたのは評価したいポイント。こういうアニメは定期的に摂取させて欲しい。
10. 怪獣8号
怪獣達から人々を守る防衛隊員を目指すカフカが、謎の生物に寄生されて怪獣人間となってしまうところから物語は始まる。
本作の魅力は、怪獣であることを隠しながら防衛隊員として戦うカフカ。周囲にバレるかもしれない緊張感がありつつ、そんなリスクを負ってでも手を差し伸べずにはいられないヒーロー性と、圧倒的パワーで窮地を打開する爽快感…展開は王道ながら、それを見せつけてくれる主人公っぷりが気持ち良かった。戦闘作画が気合入ってるからそれだけでも見応え充分。怪獣清掃業で培った知識を活かして貢献するのも地味に好きポイントだけど、華があるのはやっぱり怪獣モードかな。
戦闘面で言うと巨大斧を手に華麗に戦場を駆ける天才少女のキコル・双剣使いで糸目強キャラな保科副隊長・超大型ライフルで掃討する亜白隊長等々、厨二心をくすぐる戦闘スタイルが多くて興奮させてくれた。中でも保科副隊長は命を賭けて闘う覚悟の強さや、隊員を守る使命まで背負っている情の厚さといった内面までカッコよくて好き。自らを犠牲にしてでも皆を守ったカフカへ向けた粋な敬礼はイケメン過ぎて惚れた。他の隊員達も仲間想いで向上心が高く、好感持てるキャラが多いのがグッド。
2期も決まって嬉しい限りなんだけど、カフカの身バレが思ったより早くて、怪獣であることを隠して戦うという本作の特徴が損なわれたのはやや不安…単調にならないことを祈る。
11. アストロノオト
癖のある住人達が住まうアパート・あすトろ荘を舞台に、料理人の宮坂拓巳と大家の豪徳寺ミラを中心に描かれる愉快なSFラブコメディ。
本作の魅力ですが、ラブコメのラブ部分ではヒロインのミラさん。宮坂くんの料理を美味しそうに食べる姿はシンプルに可愛く、中盤以降で宮坂くんのちょっとした言動が気になって嫉妬しちゃう乙女っぷりにはニヤニヤさせてもらった。CV:内田真礼もピッタリ。お相手である主人公の宮坂くんはとにかくミラさん一筋で、全然カッコよくないどころか情けないまであるんだけど、等身大なところが好感持てた。2人目のヒロインとして参戦した葵ちゃんの秘めた恋心も見所で、失恋した後に昔のことを思い出してもらえるところとか切な過ぎてグッときたよ…陰で支えるナオスケとのコンビも素敵。
コメディとしても安定していて、個性豊かな登場人物達が繰り広げるドタバタ劇には笑わせてもらった。ミボー人・ゴシュ人とかのネーミングもそうなんだけど、思わずクスっと笑ってしまうことが多かったように感じる。と言いつつ最終話手前であすトろ荘が変形して巨大ロボットになった時は流石に予想外過ぎて爆笑してしまったわけだけどw
あと全体通して温かさが根底にあったのが本作のお気に入りポイントで、自分の好きなことができる幸せな空間にしたいとミラさんが言っていたように、無職の若林さん・スカートを履きたいレンくん・売れない地下アイドルのテルルン等、ともすれば白い目で見られかねないことでもあすトろ荘は受け入れてくれる。そしてそんなあすトろ荘がかけがえのない場所であることが、楽しそうに過ごす住人達から伝わってくるのが好きだった。
気になった点を挙げておくと、ミラさんから宮坂くんへの矢印はもう少し印象深いエピソードがあると納得感増したと思うからそこは惜しい。
作品としてはTLの評判があまり良くなかった感じだったけど、良作だったと思う。制作陣に感謝。ちなみにOPは今期で一番好き。
12. 狼と香辛料
最近流行りのリメイクシリーズ。遂にこの作品までリメイクされるようになったのかと…時の流れを感じる。
原作既読かつ旧アニメ視聴済なので今更語ることは何も無いんだけど、何回触れても面白いものは面白いね。商取引という題材がまず珍しくて新鮮だし、騙し騙されは当たり前で手に汗握る商人達の駆け引き、心地良い軽妙な掛け合いがいずれも高水準。
なにより主人公・ロレンスとヒロイン・ホロの関係性が最高で、張り合おうとしても最終的には手玉に取られてしまうロレンスにはニヤけが抑えられない。そして基本的にはホロの方が常に優位に立ってるんだけど、大事な場面では関係が入れ替わり、ロレンスの誠実さが、本当は寂しさや不安を抱えているホロの心を包み込むのがまたたまらない。
ホロは耳や尻尾でも感情を表現するのが最高で、例えばレメリオ商会に裏切られた後にホロとロレンスが合流したシーン。ボロボロになりながらもホロの服を後生大事に持っていたロレンスに対し、相方が悲惨な目に合わされたことに怒りつつも、大切にされている嬉しさが抑え切れずに尻尾を揺らすところとかもうヒロイン力が天元突破してる。ちなみにこのシーン、気になって原作や旧アニメ見返したけど尻尾は振ってなかったからアニオリなんだけど、事務的なリメイクじゃなくて細かいところで味付けが加えられてるのが良い。
しかし今こうして見るとロレンスとホロの関係に何か既視感あると思ったら、からかい上手の高木さんなんだよな。阿呆な男であるが故、いつまでもこういうのに弱い。
どこまでアニメ化してくれるかはわからないけど、2クール目も続くということで引き続き追いかけます。
13. 無職転生(2期2クール目)
シルフィと結ばれ、家庭を持ったところから始まった今シーズン。
印象深いエピソードは2つあって、まずはノルンとの和解シーン。優秀な兄と比較され続ける毎日の息苦しさは共感できたし、引きこもってしまったノルンにかつての自分を重ね、どうすれば良いかわからなくても寄り添おうとするルーデウスには胸を打たれるものがあった。具体的に何かをしてあげられた訳じゃないんだけど、悩みもがき、拳を握り締めながら懸命に言葉を紡ぐ姿から、ルーデウスが"本気"で生きて、ノルンを想っていることが伝わるのが素敵。
もう1つはパウロとの決別。転生者であるが故に、父親というよりパウロとして見ている節もあったと思うんだけど、命を賭けて息子を守ったパウロは間違いなく父親で、その姿を目に焼き付けることでようやく息子になれたルーデウスに胸が熱くなった。タイトルとも繋がる"本気で生きる"ことを最後に決意するのが、前世を無かったことにしない本作らしさが詰まってて良いのと、そんなルーデウスの背中を死してなお押してくれるパウロにはグッときた。挿入歌の歌詞"側にいるよ"がまた泣けるのよ…。
ただ引っ掛かった部分もあって、パウロを失った心の傷をロキシーが癒す展開は正直どうなのと。ゼニス&リーリャの前例があるというのはそうだけど、結局シルフィに全てを委ねてるのがどうにも好きになれないし、パウロの死がハーレム作りの理由付けにされてるようにすら感じてしまう。シルフィもそうなんだけど、本作の辛い時は女に癒してもらうみたいなのはちょっとしっくり来てないんだよな…続編制作決まってエリスが出てくるっぽいけど、何かこのままだとエリスも同じ流れになりそうで心配。
14. この素晴らしい世界に祝福を!(3期)
爆焔を除けば実に7年振りとなったこのすばシリーズ。ゆるキャンと同じく制作会社は変更になったものの、おバカなノリは変わらずで安心できた。
宴会芸か酒を飲むことしかしてない駄女神アクア、爆裂魔法をぶっ放すことしか考えていないアホの子めぐみん、ドMクルセイダーのダクネス、皆に振り回されるカズマと癖が強過ぎる個性派パーティの愉快なやり取りは健在で随分と笑わせてもらった。
そんな中でも3期は借金を盾にしたダクネスの強制結婚話が軸に進み、シリアスな一面もあり少し毛色が違った印象。手を取って救い出してくれるカズマさんは不覚にもカッコいいと思えたし…いやまぁ戻ってきたらバツネス扱いされる時点で台無しなんだけどwダクネスとラブコメ展開になるかと思いきや腹筋割れてるでフラグ折ってくるし、絶対ギャグで落としてくれる信頼感があるよね。
新キャラの幼い王女・アイリスはカズマに興味津々で、年相応の反応を見せてくれるのが可愛らしく微笑ましかったし、お兄ちゃん呼びを求めるアホなカズマには笑った。
1話の「このすばが帰ってきた」感からするとシリアス成分増加でトータルとしては若干パワーダウンした気もするが、地力があるシリーズだと改めて感じさせられた。楽しかったです。
15. うる星やつら(2期2クール目)
計4クール続いたドタバタラブコメも終幕ということで。
見所は何と言ってもラスト4話のボーイミーツガール編。嘘でも良いから好きと言われたいラムと、強制されればされる程意固地になってしまうあたる…本気だからこそ安易に口にしたくないというのはわかるし、貫き通した想いがラムに伝わった瞬間は涙腺が緩んでしまった。好きという決定的な台詞は言っていなくても、ここぞという時のあたるの行動はいつもラムへの想いで溢れていて、その積み重ねが答えになるってのがさ…いつまで経っても素直になれない2人だけど、そんな2人らしい美しい結末に感動した。似た者同士だったルパ&カルラがストレートに言葉で伝えたのと対比させてるのも巧いよね。
物語の始まりでもある鬼ごっこで締めるのも粋だし、ラストに相応しいエピソードだったと思う。「いまわの際に言ってやる」はTHE・あたる節でニヤり。
人気が出るのも納得の名作でした。
16. ゆるキャン△ (3期)
安定のシリーズながら、制作会社やキャラデザの変更という不安要素も抱えつつ始まった3rdシーズン。
ただ心配とは裏腹に本作の味は健在だった印象で、3期のテーマである"たのしい、更新中"の通り、綾乃のツーリングキャンプ・なでしこや千明のソロキャン・葵のロードバイクといった楽しさや好きが伝播し広がっていく…様々な関わりを経て少しずつ豊かになっていくささやかな日常の高鳴りが詰まっていたと思う。吊り橋巡りで大変だったけど、何だかんだで終わってみると来て良かったことをリン&綾乃が噛み締めるシーンとかもアウトドアの魅力が感じられて好き。思い出ってこうやって増えていくよね。
あと直火焼きハンバーグや段ボール燻製など、食欲をそそる種々のキャンプ飯は本当に美味しそうで、本作が飯テロアニメでもあったことを思い出させてくれた。
たまに観光地紹介の旅番組みたいになってしまう時は退屈だったり、7話の回想キャンプは奇を衒い過ぎてる感あったりとハマれない瞬間はあったんだけど、上記の通り軸の部分はブレてなかったから全体通して見ると楽しませてくれた。
原作ストックがあるのかわからないけど、3年間隔でアニメ化されているので、次は2027年に再び会えることを楽しみに待っています。
17. 鬼滅の刃 柱稽古編
今や国民的アニメとなった鬼滅の新シリーズ。
今期は柱稽古編と銘打たれている通り柱達による修行編で、溜め回ならぬ溜めシーズンだったかなと。柱の掘り下げをするのかと思いきや悲鳴嶼さんぐらいで他はそうでもなく、その割にモブの特訓描写に力入れてたりと、いつも以上に引き伸ばし感がどうしても強くなってしまっていた印象。
ただ最終話は流石の貫禄で、ゆったりと闊歩してくる無惨様のラスボス感から始まり、家族諸共に爆殺する親方様の覚悟、決死の覚悟で薬を打ち込み大打撃を与える珠世、窮地に結集する柱達とどれも劇場版クオリティで盛り沢山。
そして未知の無限城へ落とされながらも不屈の闘志を見せる炭治郎で引きと、完結編である劇場版を見に行きたくなる構成で商売の上手さに感心。個人的には3部作なのが好きになれないから完結するまで待ちそうだけど、続きは楽しみにしています。
18. シャドウバースF(7クール目)
本クールはアーク陣営とのバトルが中心に描かれたわけだけど、印象的だったのはレン&ツバサvsアンドレア&ヒナ。手を差し伸べてくれるヒーロー2人の眩しさに焼かれつつ、結局は助けられない結末が中々に悲劇的でクるものがあった。「悪役なんだから最後は笑え」と不敵な笑みでアンドレアに寄り添うヒナも最高にカッコよくて痺れたし、エピソードとしては別格だった。
バトルとしては懐かしの絶傑シリーズが参戦ということで、ヴァーナレクやガルミーユには相当お世話になったので出てくるだけで大興奮。またタッグバトルやデジフレ覚醒など、イベントを盛り込んで飽きさせない構成にしているのが好印象。あとリョウガがすっかりデモニア大好きになってるのが微笑ましい。
シャドバのアプリは実質サ終して新作のビヨンドへ移行が決まったわけだけど、多分新作もやることになるだろうし、アニメの方も引き続き追いかけます。
19. アイドルマスターシャイニーカラーズ
アイマスシリーズのシャニマス編ということで。原作は最近リリースされたシャニソンを齧ってる程度なので超絶ニワカの立ち位置。
シャニマスはシナリオが気合入ってることで有名だからアニメも期待してたんだけど、正直期待外れだったと言わざるを得ない。
何が良くなかったかと言うと、1クール通してドラマが無さ過ぎる。感情の振れ幅が皆無なレベルで無味無臭で、もっと悩みとか葛藤といった負の感情を描いても良かったんじゃなかろうか。ちょっと前に放映されたミリマスの時は登場人物が多過ぎて感情移入できなかったと書いたけど、今回人数的には1/3以下の16でユニット数は4つと、バランス的に尺はあった。ユニットに描写を絞ればいいのに、1話の中でどのユニットも満遍なく出さないと気が済まないのか、中身の無いシーンをだらだら流すもんだから、本筋が薄っぺらくなってしまっていたのが非常に残念。終始散漫な印象は拭えず、W.I.N.G.で結果が奮わなくて果穂や恋鐘が悔しさを噛み締めるシーンとかもそこだけ見れば良いシーンなのに、積み重ねが不足しているように思えて魂まで響かなかった。
秋からストレイライト・ノクチルが新たに参入して2クール目が放送されるみたいだけど、この調子だと不安しかない…。
【総評】
以上、計19作品となりました。
春アニメはビッグタイトルが多くて始まる前から大豊作を予感させていたけど、その通りになったんじゃないでしょうか。
本当は続編枠で劣等生・デアラを見る予定だったのと、バーテンダーも途中まで見てたんだけど、数が多過ぎて泣く泣く断念…。
ちなみに個人的段階別評価はこんな感じです(気持ち左右差あり)。
S(歴代上位) : ユーフォ
A+(クール最上位): ガルクラ ダンジョン飯 烏は主を選ばない > 夜クラ 時光代理人 ヒロアカ 忘却バッテリー
A(クール上位) : 終末トレイン 怪獣8号 アストロノオト 狼と香辛料 > 無職転生 このすば うる星やつら
B+(中の上) : ゆるキャン
B(中) : 鬼滅の刃 シャドバF
C+ : シャニマス
また評価の元となる各話点数表はこちら。
ベストエピソードは響け!ユーフォニアム第12話「さいごのソリスト」でした。これは賛同して頂ける方も多いんじゃないでしょうか。感想は作品別のところでしこたま書いたので割愛。
感想は以上となります。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
夏アニメはお盆パワーで巻き返す計画だったんですが、もう残り少ないので地道に見ていくことになりそう。見たらまた感想書くので、引き続きよろしくお願い致します。
それではまた。